スネアの音は周波数解析すると声紋のような像が表れるため、ヘッドのピッチを特定することができます。そこでLed Zeppelinのジョン・ボーナムのスネアのチューニングを探ってみました。
ターゲットにしたのは『レッド・ツェッペリンDVD』に収録されているロイヤル・アルバート・ホール(Royal Albert Hall)でのライブ・パフォーマンスのうちの1曲、『Moby Dick』です。ドラムソロがあるため、他の楽器の音の混入がない状態でスネア音のサンプリングが可能なことと、スナッピーをオフにした状態での音も入っているため、スネアサイドヘッドのチューニングも正確に特定できるためです。
ジョン・ボーナムといえはLudwig LM402なので音の再現にそれが使えたらよかったのですが、所有していないため、同サイズ(14"x6.5")のYAMAHA SD365DW(Dave Weckl Signature)を使用しました。
ヘッドは打面にREMO Emperor Coated(7mil+7mil)、スネアサイドにEVANS Genera Snare 300(現行のOrchestral、3mil)を使用しました。スネアサイドは同じ厚さなら音色はほとんど変わらないのでジョン・ボーナムと同じREMO Ambassador Snare(3mil)でも結果は同じになる筈です。
ジョン・ボーナムのスネアの音の周波数解析像とSD365DWの実際の音と照らし合わせたところ、打面のピッチは287Hz(tune-botでチューニングするときに用いる倍音の数値です。)、スネアサイドのピッチは360Hz程度(スネアサイドヘッドのピッチはあまり音色に影響しないので多少上下しても結果は近似します。)という結果が出ました。
上の図はスナッピーオフでの音色を比較したものです。左半分がジョン・ボーナム本人、右半分はSD365DWで再現した音です。打面のピッチが287Hzであることは3倍音が一致していることから、スネアサイドのピッチが360Hzということは基音が一致していることから証明されます。
上の図はスナッピーオンでの音色を比較したものです。基音が少し上下に広がっていることからスナッピーはゆるすぎず、きつすぎず、適度に張った状態であることが伺えます。
基音のすぐ上の領域ではあまり模様(周波のピーク)が似ていませんが(*)、それより上の領域では周波のピークが多く一致しています。
(*)SD365DWでは打面ヘッドをきっちり均等に張っていますが、ジョン・ボーナムの方は崩れているのかもしれません。
実際の音声比較です。
アンビエント(会場の反響音)やイコライジングまでは再現できないのでその辺はご勘弁を(笑)。
LM402とtune-botを持っている方は是非やってみてください。
Weckllover Drums Laboratory ~ドラム研究所~
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2018.01.07 12:35