Pearl P-930/NIのヒンジを修理してみた

Pearl のキックペダルP-930/NI(通常バージョンのP-930、P-932もヒンジ構造は同じです)のヒンジのガタつきが大きくなってきたので修理をしました。

ヒンジの分解

P-930、P-932など下級モデルのヒンジ軸はローレットピンを打ち込んでいるだけなのでピンの右側に3mm径のピンポンチを当ててハンマーで叩くと左側に抜けます。アンダープレート裏にペダルのウォーキング防止用の面ファスナーを貼り、カーペット上に固定すれば万力などでペダルを固定せずともそのままピンポンチを当てて叩けばピンは抜けます。
樹脂ブッシュがかなり傷んでいるのがわかります。この樹脂ブッシュを交換すればガタつきは減るのですが、メーカーでは樹脂ブッシュだけの販売を行っていません。そこで独自に修理パーツを用意します。
今回ヒンジの修理に用意したパーツは4種類。

①NTN ベアファイト(型番 B-BRF050806)(2個)・・・ブロンズ製のすべり軸受け。樹脂ブッシュの代わりに用います。

②RENYワッシャー(型番 RENW5)(2個)・・・ガラス繊維強化ポリアミド製ワッシャー。ベアファイトのフランジ幅がオリジナルの樹脂ブッシュ(2mm)に比べて狭い(1mm)のでこれを挟んで横ずれを防止します。

③平行ピン(型番 SPB-S45C-D5-70)(1本>・・・ローレットピンの代わりにヒンジの軸に用います。ベアファイトの内径は厳密に出来ているので直径5mmより僅かに小さく出来ているB種の平行ピンでないとはまりません。

④ホーローセット(型番 SSHC-ST-M3-6)(2個)・・・平行ピンを固定するのに用います。

これらのパーツはすべてMISUMI-VONAで手に入ります。
https://jp.misumi-ec.com/

平行ピン固定用の穴あけ

ヒールパーツのローレットピンの通っていた穴に貫通するようにΦ2.5mmの穴を開けます。
そしてM3のタップでネジ山を切ります。
ネジ山ができたら平行ピンを通し、ホーローセットをネジ穴に挿入して六角レンチでしっかり締めて一旦固定します。
ホーローセットを緩めて平行ピンを抜くとピンにホーローセット先端による傷が付いています。この傷は盛り上がっているのでそのままだと軸受けから平行ピンが抜けなくなる可能性があります。
なので傷の部分をえぐるように削っておきます。

ベアファイトの接着

ベアファイトを挿入するフットボードの穴は8mmより若干大きく出来ており、挿入するだけではガタついてしまうのでネジの緩みどめ接着剤で固定します。
ベアファイトが摩耗したら交換出来るように中強度タイプの接着剤を使います。
接着剤が硬化するまでの間、平行ピンを挿入して軸ずれしないようにしておきます。
接着剤が硬化したら平行ピンをヒールパーツ、RENYワッシャー、フットボードの順に通し、ヒールパーツとフットボードを結合します。
六角レンチでホーローセットをしっかり締めたら完了です。
左が修理前、右が修理後です。ほとんどガタつきがなくなりました。摩擦が増えて動きが悪くなったということもありません。修理ではなくチューンナップと呼びたくなるようないい出来です。

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