YAMAHA FP8500B
かの名器FP720を思い起こさせるロングボード、ベルトドライブというスペックから密かに人気の高いFP8500Bですが、他社に倣ってブレのないアクションを狙ったためかどこか動きが鈍いところがあります。そこでパールのP-930/NIに続いてこちらもチューンナップを試みました。
問題はヒンジにあり
P-930ほどではないですが、このFP8500Bもフットボードのヒンジの動きが鈍いです。そこでヒンジの分解です。
ヒールプレート裏の2本のねじを外したくなりますが、実はヒンジの分解にこのねじを外す必要はありません。(外す場合はまず両面テープで貼付されているヒールベースラバーをはがし、半田ごてのこて先をねじにあてて充分熱してからねじを外してください。ゆるみ止め接着剤を使っているのでそのままドライバーで回そうとすると間違いなくねじ山を潰します。)
赤と緑の矢印の穴にイモネジがはまっているのでそれを六角レンチで外し(赤と緑でねじのサイズが違います。)、ヒンジの軸を青矢印の方向に引き抜きます。
分解したところです。
意外にもヤマハもタマのように軸受けにオイレスハイプラストブッシュなんて使っているんですね。(以前はナイロンブッシュでした。それにしてもこのパーツ、ヤマハで交換用として買うと1個¥1,100ってぼったくり過ぎ・・・モノタロウで¥100未満で買えるのに。)
動きの悪さの原因のひとつはこのブッシュで、ガタつき防止のためにイモネジで押さえ込んでいるんですよね。イモネジをがっちり締めてしまうと動きが悪くなってしまうのでゆるめに締める、あるいは外しておく方が動きはいいです。また無給油で使えるブッシュですが、シリコンオイルを給油してやると滑りは良くなります。(油による侵食はありません。)
動きの悪さの原因がもうひとつ、フットボードとヒールプレートの隙間が小さすぎるためブッシュを入れるときつすぎて動きが妨げられます。フットボードがブッシュのフランジ面と接触する所を若干削ってやると(画像のように地金が見えるほど削らなくてもいいです)動きが良くなります。
ベアリングの芯出し
P-930/NIでやったようなベアリングの芯出しはFP8500Cでは必要ありません。シャフトとベアリング、ベアリングとフレームは適切な位置にゆるみ止め接着剤で固定されています。
ガイドローラーのノイズ対策
ベルトが接触するフットボードの先端には樹脂製のガイドローラーがはめ込まれていますが、軸との間に遊びがあるためそのままでは「カチカチ」とノイズを出します。フットボードとガイドローラーの隙間(赤で示した部分)をホットボンド等で埋めてガイドローラーを動かなくするとノイズは解消します。
チューンナップ後の動作状況です。
ちなみにCanopusのSpeed Star ベアリング適用後の比較動画ではこんな感じです。(ノーマルのFP8500Bの動きがお粗末過ぎるように思うのですが。)
最近のフットペダルはガタつきをなくそうと無理をして却ってフリクションを増やしてしまっているような気がします。足で扱うものなので多少の遊びがあっても問題はないのに・・・。
以上のチューンナップは同じヒンジ構造のFP9500D、FP9500C、FP8500Cでも可能です。(FP9500C、FP8500Cではガイドローラーも。)
Weckllover Drums Laboratory ~ドラム研究所~
チューニング方法などドラムにまつわるあれこれを記しています。
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